Q&A ご依頼〜特許後までの流れについて
ご依頼から特許後までの流れについてをご説明いたします。
Q.依頼までにすべきことは?
依頼までには、概ね、以下の作業が必要となります。
(1)発明の抽出
既存の技術に対して工夫を行ったと思われる技術を抽出します。ここでは、既存技術の"問題点の把握"が重要となります。この問題点を解決する手段を発明として抽出します。
(2)先行技術の把握
抽出した発明に関連する先行技術を調べます。特許庁ホームページ内にある特許電子図書館(IPDL)を利用すると、関連技術に関する特許出願(公開公報)をキーワード検索できます。
(3)特許性の見極め
抽出した発明と先行技術を比較します。両者の間に差異がなければ、特許は取れません。両者の間に差異がある場合には、その差に技術の進歩を見込めるかに応じて、特許を取れるかが決まります。一般的には、その差が単なる設計上の微差であるか、他の先行技術の埋め合わせによって置き換え可能な場合には、特許性なしとされます。その差によって生じる技術上の効果が大きいほど特許性が上がります。
(4)費用対効果の見極め
その発明の事業規模と特許化に必要な費用とを比較します。通常、出願時の費用として25〜30万円程度かかり、特許として登録されるまで通算すると100万円程度かかります。
(5)出願要否の見極め
発明の中には、出願せずに、ノウハウとして秘密にしておくのが好ましいものもあります。たとえば、競合他社がその発明を使っていることを確認するのが難しい場合は、出願せずにノウハウとして持っておいた方が得策です。このような場合、特許をとっても、他社に権利行使できないため、結局、他者に手の内を見せるだけとなってしまうからです。
Q.依頼時にすべきことは?
出願依頼時には、概ね、以下の作業が必要となります。
(1)特許事務所の選択
まずは、出願を任せる特許事務所を選択する必要があります。 出願から特許化まで2〜5年程度かかるため、その間、安心して任せられる特許事務所を選択します。出願対象発明の技術分野に精通した弁理士であれば、出願明細書と拒絶理由対応の質を高く維持できます。できれば、特許化後の権利行使にも対応可能な事務所がベターです。
弊所は、電気、電子、機械、情報、光学、土木を専門分野としております。なお、既存のクライアント様と内容が競合する場合には、ご依頼を引き受けかねることとなりますので、予め、ご了承下さい。
(2)相談
特許性や出願の要否の見極めについて疑問があれば、正式な依頼前に、特許事務所に相談します。
弊所では、相談案件について出願依頼された場合には、相談料を頂きません。なお、相談料は、事前検討を含め、1.5万円/時間となっております。その他の手数料については、出願依頼前に、弊所までお問い合わせ下さい。
(3)資料の提示
弊所にご依頼の際には、以下の書面をご提示下さい。
- a.発明内容を表した図面(ご依頼時には代表図面のみでも可)
- b.発明内容を説明する書面(背景技術とその課題、課題解決手段)
ご提示いただいた資料をもとに、後日、インタビューを行います。 出願に必要な資料の補充が必要な場合は、その旨、弊所より連絡いたしますので、インタビュー時またはそれまでにご提示下さい。
Q.インタビュー時にすべきことは?
インタビュー時には、適宜提示資料を参照しながら、以下についてご説明下さい。なお、インタビューには、原則、発明者のご出席をお願いします。
- 1.技術分野の状況の説明
- 2.先行技術と問題点の説明
- 3.発明の説明
- 4.実施形態(発明を製品化した一つの形態)の説明
インタビューの際に、担当弁理士から、適宜質問を行います。 また、提示されたもの以外に必要な資料、情報について、その場で指示致します。実施化品があれば、インタビュー時にお見せ下さい。
Q.出願までにすべきことは?
インタビューを踏まえ、担当弁理士が出願書類を作成いたします。この際、適宜、担当弁理士から発明者様、担当者様に質問が行われます。作成された出願書類は、出願前に、担当者様に送付されます。ここでは、以下の作業が必要となります。
(1)原稿のチェック
概ね、以下のチェックが必要となります。
- 出願しようとする発明が正確に記載されているか
- 実施形態の説明および図面に誤りはないか
- 追加すべき発明および実施形態はないか
(2)審査請求の要否の決定
日本では、出願しても審査請求を行わなければ、特許庁における審査がなされません。逆に、審査請求を行わなければ、その分、特許化が遅れます。
早期に権利化したい場合には、出願時に審査請求を行い、審査の着手を早めるのが得策です。審査請求には20万円程かかります。
出願後の動向等を見極めながら審査請求の要否を判断したい場合には、出願時の審査請求を見合わせます。 なお、審査請求の期限は、出願日から3年以内です。
Q.出願後にすべきことは?
出願後には、概ね、以下の作業が必要となります。
(1)審査請求の要否の決定
出願時に審査請求を行わなかった場合には、その後、3年以内に限り審査請求を行えます。なお、その期間内に審査請求を行わないと、権利化できなくなります。
(2)拒絶理由への対応
審査請求を行うと、通常、それから2年以内に、特許庁において特許性審査に着手されます。ここで、特許性に問題があれば、特許庁より、その理由を示した通知書(拒絶理由通知)が送付されます。この通知書に異議がある場合には、特許庁にその旨、意見具申できます。また、この際、この通知書に示された拒絶理由を回避するために、発明の特徴を明確化するための補正を行えます。
通常、弊所では、特許庁から拒絶理由通知を受理した場合、以下の手順で対応いたします。
- まずは、受理した拒絶理由通知を出願人(担当者様)に送付
- その後、出願人から指示を頂き次第、弊所において、拒絶理由の適否を評価し、出願人に、その評価結果と、拒絶理由を回避するための方策を提示
- 弊所の評価結果と方策をもとに、出願人サイドにおいて、拒絶理由を評価・分析し、対応方法を決定
- 決定された対応方法に基づいて、弊所において、対応書面(意見書、補正書)を作成し、特許庁に提出
なお、拒絶理由の対応期間は、当該通知を受理後、60日以内です。
(3)不服審判請求の要否
特許庁における審査において拒絶された場合、これに不服であれば、審判部に不服審判を請求できます。不服審判の請求には、7万円程かかります。
(4)特許料の支払い
特許庁における審査において特許性が認められると、特許査定がなされます。特許化する場合には、1〜3年分の特許料を、特許庁に納める必要があります
Q.特許後にすべきことは?
特許後には、概ね、以下の作業が必要となります。
(1)特許維持の要否の見極め
各年分の特許料は、特許後の年数が経過するにつれて高くなります。定期的に特許の価値を見直して、不要な特許は、特許料の支払いを中止する必要があります。
(2)侵害対応
取得した特許を競合製品が侵害していないか定期的にチェックします。 弊所では、ご依頼に応じて、侵害の有無に関する鑑定を行います。また、弁護士とともに、訴訟対応も可能です。